
士業事務所・法人がオウンドメディアを運営する際には、どのようなターゲットを設定すれば良いですか?



自事務所の強みや提供しているサービスを訴求できるターゲットをメインとすることをおすすめします
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットを設定する方法や決める際の基準を解説していきます。
- 士業事務所がオウンドメディアで提供するコンテンツ例
- 士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットで決めること
- 士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットを決めるときの注意点
オウンドメディアとは、自社が保有・運営するメディア全般を指し、主に下記のようなものがあります。
統一感のメディアを作り上げるためには、オウンドメディアの運営開始の段階でターゲットをある程度決めておくことが大切です。
士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットを決める場合は、年齢や性別だけでなく、ターゲットの悩みや自事務所・法人で解決できることを基準に選ぶと良いでしょう。
本記事では、オウンドメディアのターゲットを決める方法や基準を紹介していきます。
士業事務所・法人のSEO対策やコンテンツマーケティングは「士業事務所のSEO対策の特徴|成功のコツやコンテンツSEOの流れ」の記事で、詳しく解説しているのでよろしければ併せてお読みください。


オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、自社が保有・運営するメディア全般を指し、主に下記のようなものがあります。
- Webサイト
- ブログ
- メールマガジン
- SNS
士業事務所・法人においては、事務所の公式Webサイトにある「コラム」や「お役立ち情報」などのコンテンツページが該当するはずです。
オウンドメディアは、広告媒体や外部プラットフォームとは異なり、自社の価値観やブランディングを反映しやすく、見込み客との信頼関係を構築しやすいのがメリットです。
特に、士業事務所・法人が提供するサービスの中には、契約期間が長期にわたることが多い企業との顧問契約や、客単価が比較的高い個人からの依頼もあるはずです。
そのため、相談者は士業事務所・法人のWebサイトや口コミなどを確認し、信頼できそうかや相性が合うかなどを調査することが想定されます。
そのため、オウンドメディアを運営し、役立つ情報を提供できれば、見込み客との信頼構築に役立つでしょう。
士業事務所がオウンドメディアで提供するコンテンツ例
士業事務所がオウンドメディアを活用する場合、単なる業務紹介にとどまらず、「検索ユーザーが求めている情報」を的確に届けることが重要です。
具体的には、下記などのコンテンツを提供すると良いでしょう。
- 法律的な知識・用語の解説
- 事務所の強みの紹介
- お客様の声や解決事例の紹介
それぞれ詳しく見ていきましょう。
法律的な知識・用語の解説
専門的な知識が要求される法律用語や制度について、わかりやすい言葉で解説するコンテンツは、士業事務所・法人のオウンドメディアの中心的な柱となるでしょう。
例えば、下記などは検索ニーズも高く、ユーザーの悩みも深いため、オウンドメディアのコンテンツに適しています。
- 相続放棄の手続き方法
- 成年後見制度の概要や必要となるケース
- 離婚で配偶者に慰謝料が取れるケース
- 交通事故に遭った際の慰謝料相場



上記については、ユーザー(見込み客)が実際に検索しそうなキーワードを使用して記事を作成する必要があります。
専門家が監修した信頼性の高い情報を掲載することで、事務所の専門性をアピールできると同時に、検索エンジンからの評価も高まりやすくなります。
事務所の強みの紹介
競合記事と差別化するうえで欠かせないのが、事務所独自の強みや対応スタンスを伝えるコンテンツです。
例えば、「〇〇事務所に相談する〇つのメリット」などといった直接的なコンテンツを作成しても良いでしょう。
他には、初回無料相談の流れなどを解説するコンテンツを作成し、問い合わせ前の不安を解消するコンテンツを作成するのもおすすめです。
お客様の声や解決事例の紹介
実際に相談・依頼したお客様の声や、成功した事例の紹介は、読者の信頼を得るうえで非常に有効なコンテンツのひとつです。
「自分と同じような状況の人が解決できた」という事実は、専門的な説明以上に読者の不安を和らげ、相談行動を後押ししてくれます。
ただし、士業事務所・法人が過去の解決事例やお客様の声を掲載する際には、プライバシーに配慮しなければなりません。



士業事務所・法人が解決する問題は非常にデリケートなものが多く、個人が特定される解決事例を掲載することはできません。
そのため、解決事例やお客様の声を掲載する場合には「どのような悩みを抱えていて、どのように解決したか」や「事務所、担当者の対応で印象的だった点」を中心に紹介する必要があります。



相談者やお客様の属性は、年齢・性別を掲載するくらいにしておきましょう
士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットで決めること
士業事務所・法人がオウンドメディアを運営する場合、最初のうちはターゲットをある程度絞っておくことをおすすめします。
ターゲットを決める際に基準にする項目は、主に下記の通りです。
- BtoBかBtoCか
- 性別
- 年齢
- ターゲットの悩み
- 自事務所・法人で解決できること
それぞれ詳しく紹介していきます。
BtoBかBtoCか
オウンドメディアのターゲットを決める際には、見込み客やターゲットがBtoB(法人)か、BtoC(個人)かという点です。
例えば、司法書士法人のオウンドメディアでもターゲットが個人か法人かで、下記のようにテーマが変わることも予想されます・。
BtoB(法人) | 商業登記など |
---|---|
BtoC(個人) | 相続、借金問題など |
どちらをターゲットとするかによって、記事の内容が変わってくるのはもちろんですが、紹介する事例やメディアのトンマナも変わってくるはずです。
性別
オウンドメディアのジャンルによっては、ターゲットの性別も重要となってきます。
士業事務所・法人が取り扱うジャンルの中でも、離婚問題や相続トラブル、借金問題などデリケートなテーマでは、読者の性別によって、好まれるコンテンツが変わる場合があります。
- 女性向け:丁寧な表現や感情に寄り添う表現
- 男性向け:スムーズな手続き方法の紹介などわかりやすく論理的なコンテンツ
オウンドメディアのジャンルにもよりますが、メディア全体ではターゲットの性別をゆるく設定しておき、記事によってはガッツリ絞り込むことをおすすめします。



基本的には、男女どちらにも好まれる丁寧かつわかりやすい対応をしておけば間違いはないでしょう
年齢
オウンドメディアのターゲットを決める際には、年齢をある程度絞ることも大切です。
例えば、離婚問題をテーマにしているとしても、20代と50代ではニーズが変わってくることが予想できます。
- 20代:できるだけスムーズに離婚する方法や慰謝料の金額相場
- 50代:熟年離婚を成功させる方法や離婚後の生活・経済状況を安定させる方法
上記のように、求められるコンテンツが変わるだけでなく、問い合わせまでの導線も変わってくるはずです。
- 20代:LINE相談やチャットボット対応
- 50代:チェックリスト(PDF)の無料ダウンロードやメール・電話での問い合わせ
ターゲットの悩み
年齢や性別を決めるだけではターゲット設定としては不十分であり、実際にはターゲットの悩みまで絞り込むと良いでしょう。
- 相続の手続きを放置していて不安
- 離婚後の財産分与で揉めている
- 会社の登記ミスに気づいてしまった
上記のように、具体的な悩みをできるだけ多く考えていきましょう。



基本的には、1つの記事で1つの悩みを解決することを意識すると、良いコンテンツを作りやすくなります
自事務所・法人で解決できること
オウンドメディアのターゲットを決める際には、自事務所・法人の強みを活かせるかを基準にするのも有効です。
例えば、相続関連のオウンドメディアを立ち上げたものの、一般的なお役立ち情報を紹介してしまうケースも多くあります。
このような場合では、読者にとって役に立つ情報を提供することはできるものの、自事務所・法人への問い合わせにつながらない恐れがあります。



メディア全体のターゲットを決める段階で、自事務所・法人のどのようなサービスを紹介するかまで考えておくと、このような事態は防げるはずです
例えば、司法書士法人が相続関連のメディアを立ち上げた場合、業務範囲外であっても相続税や贈与税の解説記事が必要となるでしょう。
そのような際に、キーワードの解説のみに留めるのではなく、読者の潜在ニーズに踏み込んで、二次相続対策や特別受益の持戻し免除まで踏み込んで解説することが有効です。
士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットを決めるときの注意点
士業事務所・法人がオウンドメディアのターゲットを決める際には、下記などに注意しましょう。
- 自事務所・法人の強みやこれからのターゲット像に合ったものを設定する
- 外注ライター・ディレクターとターゲットを共有しておく
- メディアだけでなく記事ごとにもターゲットを設定しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
自事務所・法人の強みやこれからのターゲット像に合ったものを設定する
オウンドメディアで設定するターゲットは、現在のメインの顧客層に合わせるだけでなく、今後注力していきたい分野に合致しているかも考慮すべきです。
例えば、現在は相続関連の相談が中心だが、今後は事業承継や法人向けサービスにも力を入れたいと考えている場合、ターゲット像を個人(高齢者)だけに限定するのではなく、経営者層や中小企業の後継者層も視野に入れる必要があります。



また、競合との差別化やブランディングの観点からも、自事務所の強みとターゲットが合っているかの見直しは不可欠です
対応の丁寧さやスピード、費用の明確さなどの特徴を活かしやすい層に絞って訴求することで、成果につながるコンテンツを作りやすくなるでしょう。
外注ライター・ディレクターとターゲットを共有しておく
オウンドメディアの運営に外部のライターやディレクターを起用する場合、ターゲット像を明確に共有しておき、サイト全体でターゲットや訴求内容を揃えることが大切です。
士業コンテンツは専門性が高く、法律や制度の記述に正確さが求められる一方で、読み手の理解度に応じた言い回しや構成が必要になります。
例えば、「相続放棄」について書く場合でも、対象が60代の一般読者か、30代の相続人かによって、表現や事例の選定は大きく変わるでしょう。
ターゲットが曖昧なままキーワードだけ共有して、記事作成を外注すると、誰に向けたのかわからない記事ができあがってしまいます。



結果として、誰にも刺さらない記事となる恐れもあります
メディアだけでなく記事ごとにもターゲットを設定しておく
オウンドメディア全体としてのターゲット像がある一方で、個々の記事ごとにもターゲットを設定すると、SEOでもCV数でも成果を出しやすくなります。
メディア全体でターゲットを設定しつつ、キーワード・記事ごとに検索意図に合ったターゲットを設定することが大切となってきます。
士業事務所・法人のオウンドメディアのターゲットを決めるときによくある質問
最後に、士業事務所・法人のオウンドメディアのターゲットを決めるときによくある質問を回答とともに紹介していきます。
- オウンドメディアの狙いとは何ですか?
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オウンドメディアの狙いは「自事務所・法人の専門性や価値を伝え、見込み顧客との信頼関係を構築すること」です。
広告と違って即効性はないものの、中長期的には継続的な集客や、顧客のロイヤルティ向上につながります。
- オウンドメディアにはどんな種類がありますか?
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オウンドメディアといっても、士業事務所が活用できる形態は、下記のように複数あります。
- 事務所Webサイト内のコラム・ブログ機能
- メールマガジン(メルマガ)
- ホワイトペーパー・ダウンロード資料
- 動画・YouTubeチャンネル
このように、オウンドメディアといっても様々なものがあるので、ターゲットのリサーチ方法やリテラシーの高さに適した形式を選ばなければなりません。
- オウンドメディアとSNSの違いとは何ですか?
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オウンドメディアとSNSは、情報発信の目的や役割が異なります。
オウンドメディアは、自事務所・法人で運営するメディアであり、長期的に情報を蓄積して検索流入を得る「ストック型」のメディアです。
一方、SNSは拡散性やリアルタイム性に優れた「フロー型」のメディアであり、イベント告知や日常的な情報発信に適しています。
両者は競合ではなく、連携させることで相乗効果を発揮するので、リソースを確保できるのであれば、オウンドメディアとSNS両方を運営することが大切です。
【まとめ】オウンドメディア担当者全体でターゲットを共有しましょう
オウンドメディアを運営する際には、ターゲットを設定しておくことが重要です。
そして、ターゲットを決定したら、責任者や自事務所・法人の担当者のみで共有するのではなく、外注ライター・ディレクターとも共有しておきましょう。
メディア運営に関わる人全員でしっかりとターゲットを共有しておくことで、統一感のあるメディアを作りやすくなるはずです。
このように、オウンドメディアの運営にはターゲットの設定やキーワード選定など、様々な作業をしなければなりません。
リソースが不足している場合や、どのようにメディア運営を進めて良いかわからない場合には、お気軽にお問い合わせください。
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